【海外での文献収集】

渡航制限がなくなり、この1年はたびたび研究対象地である韓国の地方都市に行くことができています。

渡航時は日本で入手できない文献を持って帰るチャンスなのですが、韓国で希少本をコピーするのは至難の業です。韓国の街中にコピー機がほぼ見当たらないためです。研究機関で閲覧させてもらった時にも、施設のコピーをタダで使わせてもらう形になってしまい、しかも職員の方に作業してもらうしかなく、申し訳ないことこの上ありません。なので、いろいろほしくても、最小限しかコピーならず。自分で作業したいところですが、韓国ではコピー機を外部の人間に触らせてくれないんです。お金を払えば自分で解決できる日本は本当に便利ですね。コピー一つとっても、文化はかなり異なります。

私が学部時代に留学していた2000年代初めは、教科書のマスター(笑)を持っていくと、「複写房」(コピー専門店)の主人が超高速で表紙から後付けまで丸ごとコピーしてくれたものですが、今では考えられません。レポートや冊子を製本する印刷屋さんはまだ存在するのですが、書籍のコピーは手間がかかる上に著作権の問題に敏感になっており、もはやどこも受け付けてくれません。研究者の方たちは、やはりみなさん1台スキャナーを持っており、海外にも持ち込むようですね。

なお、新しい本の場合は大手書店が日本まで発送するサービスを行っているのですが、問題は古書です。韓国に住所がないのはもちろんのこと、韓国の住民登録番号と、韓国の携帯電話番号、韓国のクレジットカード、この3種の神器がないと、いろいろ不便が生じます。

私の場合は、韓国に住む友人を拝み倒して、自宅に古書を送りつけるようにさせてもらっています。仲の良い友達でもかなり頼みにくいのですが…さらに毎度帰国前には家に泊めてもらい、ついでにシミも焼いてもらうという図々しさを発揮しております(友人のパートナーがエステ機器の開発と販売をしているので!)。自分の子供は日本でお留守番ですが、友人の子供からは「イモ」(おばちゃん)と呼ばれて仲良しに。本当にいろんな人の力を借りながらやっていると実感です。

博士課程(L)